人類史上初!「主役」は魅力的なキャラクター・・・・・・ではなく、「ことわざ」たちです。「世界に原作なし」というコンセプトのもと、最初にお披露目する『セレンディールことわざ辞典』は、千ものオリジナルことわざたちが織り成す前代未聞、独創的かつ野心的な試みです。
ことわざは、人々の経験や知恵、生物や社会へのまなざし、遊び心などを凝縮して生まれ、それが膨大な時間によって磨き上げられてつくられた、ことばの宝石です。
『セレンディールことわざ辞典』は、ことわざを理解するための前提知識となる由来となった出来事や生物、人物などについても解説をしています。そこから、少しずつ少しずつ、ことわざたちの故郷である世界についてのイメージや知識があなたの中に蓄積してゆき、いつかそれが、あなた独自の感性や知性、経験などによって凝縮され磨かれ、美しい宝石となってあなたの脳の中に散りばめられてゆくでしょう。
ふとした時に、あなたが『セレンディールことわざ辞典』で印象に残っていたことわざを思い浮かべた時、今は「世界で最も非実用的」なことわざ辞典である『セレンディールことわざ辞典』が、地球という別世界での生命を持ちます。
ことわざは、ことばから生まれた生物でもあるのです。あなたの文脈で使われた時、ちょっと言い回しを変えたり、他の言語に翻訳したり、連想で新たな表現が生まれたり…そうして進化し、根付き、広がり...『セレンディールことわざ辞典』の中にいる、地球においてはまだ生まれたばかりの赤ん坊であることわざたちは、生命力を獲得してゆきます。
あなたこそが、創造者であり、育てる人なのです。
まだまだこれは第一歩。現時点で、すでに数千のことわざたちが、改訂で舞台に躍り出るのを待ち焦がれています。まだまだ時間はかかりますが、いずれ万の単位にも到達するでしょう。
そこまでいけば、もしかしたら、その中から、一つか二つくらいは、『セレンディールことわざ辞典』から巣立ち、地球のことわざの仲間入りをできるかもしれません。
千年後、あるいは一万年後の地球、いや、そこは地球ですらない、銀河系より遠くにある星々かもしれません。今の私たちには想像もできないような文化を築いている人たちが、家族や友人との会話、未来の言語芸術作品などで、もはや由来すら忘れられたことわざを使います。そのことわざが、産声をあげたばかりの『セレンディールことわざ辞典』のことわざたち、私やあなたが今、育て始めたことわざたち自身、あるいはその子孫であったなら...そんな時越えの夢を本気で信じています。
掲載例
「千刃不掠」(せんじんふりゃく)
「血の産湯」(ちのうぶゆ)
「忘雷の滅」(ぼうらいのめつ)
「雷は横に跳んで避けるべし」(かみなりはよこにとんでよけるべし)
「見るな見るなはみるみる見る人増やす」(みるなみるなはみるみるみるひとふやす)
「夜空縮の灯火」(よぞらちぢめのともしび)
「万人集いて九千九百九十九の脳を失う」(ばんにんつどいてきゅうせんきゅうひゃくきゅうじゅうくののうをうしなう)
「幼炎大人びるに日を待たず」(ようえんおとなびるにひをまたず)
「レムールの子を殺せば村が死ぬ」(れむーるのこをころせばむらがしぬ)
「断酒祝いに酒宴」(だんしゅいわいにしゅえん)
「星砕きよ来たれ」(ほしくだきよきたれ)
「初めて聞いた諺も懐かしい」(はじめてきいたことわざもなつかしい)
「長老も俚諺の前には若造」(ちょうろうもりげんのまえにはわかぞう)